就職試験遠征日記 第ニ弾



試験日:1次(筆記、人事面接)−2002年6月6日(木)、2次(技術面接)−2002年6月11日(火)



5/24(金)
次はどこを受けようか、といろいろ考えていたら学科主任の先生からこの会社を薦められる。
LSIの設計・開発をしている会社ということで、これまでは大卒・院卒しか採用してなかったが
最近になって高専卒も取り出した、非常に優秀な技術者が揃っている会社とおどされる(^^;
しばらく考えて、受けることを伝える。すると、専用の履歴書を渡されて、月曜日までに書いて来いとのこと。
この履歴書がとんでもなく大きく、普通の履歴書では必ずある志望動機を書く欄がなく、代わりにこれまで自分がやってきたことや
卒研の詳しい内容、この会社に入ったら自分がどんなことができるかなどを書く欄が大きくあるという独特な配置である。
果たして書ききれるのだろうか、と思いながらひたすら書く。



5/25(土)
一向に履歴書の空白は埋まらず。もっといろんなことに挑戦しておくべきだったと思う。



5/26(日)
夜になってようやく下書きが終わる。後は卒研の担当の先生に卒研内容の欄を確認してもらって清書をするだけである。
幸い明日は3,4時間目が空き時間なのでその間に書き終えてしまおうと思う。



5/27(月)
朝学校に行き1、2時間目の授業を受ける。3、4時間目が空きということで卒研室にこもってひたすら履歴書を書く。
こんなに大量の文を書いたのは久しぶりである。どうにかこうにか終わり、卒研の担当の先生に見てもらいOKをもらう。
昼休みに担任の先生に渡して書類書きは終了。さてどうなるか??



5/29(水)
手紙が来て、書類選考はOK、6/6に一次選考に来るようにとのこと。
さて大変である。この会社は今年度大分高専から一人就職しているのだが、その人が残した就職試験記録が恐ろしい。
まあ普通の専門試験であるのだが(P型、N型半導体の違いを述べよ、ある回路への入力に対する出力波形を書け、微分、積分など)
なんせ学校の勉強は二の次でパソコンやら電子工作やらをやってきたので、ぱっと見ても解けないのである。非常にあせる。
ちなみに前回受けたところは適性試験(SPI)のみというのも受験の大きな要因であったのだ(笑)
ともかくこうなった以上仕方ない、と今更ながら微分積分I、IIの教科書や問題集、電子工学の教科書などを読んで問題を解くことになった。



6/6(木)
いよいよ一次選考である。前回と違い、福岡での試験なので交通はそんなに苦ではない。AM8:43の白いソニックで博多駅へ向かう。
博多駅についたのがAM10:30くらい。それから地下鉄で西新駅まで行き、そこでマクドナルドで昼食を食べる。(既にかなり緊張)
それからバスでTNC放送会館に向かう。驚いたのが都市高速を使うことである。それで\220なのだからさすが九州一の都市だなと思う。
TNC放送会館に着き、ベンチでしばらく時間をつぶす。電子工学や微分積分の教科書を読んだりと非常に落ち着かない(笑)
12:45になり、深呼吸をしてエレベーターに向かう。今回受ける会社が入っているのはTNC放送会館の最上階である21F。
あっという間に21Fに着き、就職試験を受けに来た旨を伝えると、同じく受けに来たと思われる人といっしょに交通費の請求書を書く。
ちらりと隣の人が書いているのを見ると、熊本から来た人のよう。熊本電波高専か、熊大か?とどうでもいいことが頭を巡る。
それから、違う部屋から出てきた今日受験する人と合流し面接会場へ向かう。全部で6人、多いんだか少ないんだか??
面接会場に着き、まずは個人情報の記入。「大学の方は学部コードを、院の方は専攻コードを書いてください」と説明される。 学校を選ぶ欄には高専の欄が無く、「その他」にマークする。やはり大卒・院卒がメインなのだろうか??と思いつつ、早速試験が始まる。
何やらGFTという試験らしい。内容は、まずグラフが提示され、その後に「1、○○国は面積が○km以上である 2、云々」というような文があり、
グラフから読み取れる内容に正しい文を選ぶ、というもの。これは簡単でさっさと解く。
その次がよく覚えていないのだが、その次が英語である。まぐれでも英検2級を取った自分である。これで解けなければさすがに恥ずかしい、ということで
気合いを入れて解く。この問題、例題が非常に簡単で「楽勝楽勝」と思っていたら本題がそれなりに難しくてへこむ。
それが終わり10分ほど休憩。他の人が話しているのを何気に聞いていると、やはり大学の人が多いようで、今回で11社目と言っている人も居た。
やはり大学も就職戦線は厳しいのだなと実感する。
次に性格診断。これは前回正直に答えたのだが、不採用通知時に「性格診断で云々」と言われたのでどうしようか迷ったが、
ここでごまかしても結局は自分の性格が出るわけだし、ということでまた正直に答えることに。多少は体裁良く答えたかもしれないが(笑)
その後にGABという試験。これはソフトウェア適性と呼ばれる試験らしい。内容は、暗算、命令文、暗号解読など。
暗算は、普通の四則演算(155+356= など)がひたすら50問あり、それを全て暗算で解けというもの。足し算、引き算はまだしも
215*354や6877/52など中途半端な掛け算・割り算にはてこずった。その次の命令文が一番の難関であった。
まず始めに図と命令の対応表が提示され、それから図に図形が繋がった問題が出題される。対応表を見ながら命令を理解し、
図形がどのように変化するかを考える問題である。これがとんでもなく難しく、解けたと思ったら選択肢にその解答が無いのである。
焦っていたら時間が終わってしまった。50問中12問程度しか解けず、「終わった」と思った。
次は暗号解読。これも命令文と同じような感じの問題。こちらの方がまだ解けたが、それでも半分できたくらいであった。
それが終わって筆記試験は終了。この時点で、「さて次受ける会社はどこにしようか」と考え始めていた(笑)
数分の休憩の後、人事面接である。順番が来るまで退屈なので寝る。確か6人中3番目だったと思う。順番が来て、面接室に行くと
人事担当の面接官が一人。人事面接は1対1らしい。これまでと違う雰囲気でちょっと戸惑うが、面接官の人が非常に優しく対応してくれたので
あまり緊張せずに話すことができた。「学科主任の先生から話は聞いている」「学校推薦なので恐らく技術面接に来てもらうことになると思うが」と言われ、
学校推薦の偉大さを思い知った。(同時に学科主任の権力の偉大さも ^^;)
面接が終わり、1次試験はこれで終了。TNC放送会館を出て、「ここで働ければ良かったなあ」とあきらめ気分でバスに乗って博多駅に向かう。
ソニックに揺られ大分に帰り着いたのが21:00あたり。よく考えると、明日から試験。科目は電子回路設計、電気応用、機械工学概論。
問題は機械工学概論である。これは去年の応用物理の再来のようなもので、とにかく覚えるものを覚えようとするが、
疲れもあって早々にあきらめて寝ることにした(笑) (ちなみに機械工学概論のテスト結果は欠点 ^^;)



6/7(金)
昨日書いたとおり、今日から中間試験。電子回路設計は得意分野なので楽勝、と思いきやcomponent文が出来ず大減点。
電気応用はシーケンスが少々分かっていたので普通。機械工学概論は予想通り爆死。まあ気にしない。
家に帰り、昨日の疲れもあってぐうぐう寝ていたところ、会社から電話がある。寝ぼけつつ「もう不合格通知か?」と思いつつ話を聞くと、
1次試験合格で、技術面接に来るようにとのこと。あの筆記試験で駄目だろう、と思っていただけにびっくりした。
この会社の技術面接は、話によると「C-MOSインバータの回路図を書け」「RS-FFの回路図を書け」といった口頭試問があるらしい。
ともかく今更慌ててもしょうがないので、得意分野を詰めていくとしよう。



6/8(土)
中間試験と就職試験が重なるというのは何ともいえない感じで、どっち手付かずの状態である。
とりあえず面接対策としていろいろ出そうな問題を考えるが、突っ込まれて答えられるかどうか微妙である。
相手は学部・院卒と考えると、非常に厳しい戦いである。



6/11(火)
いよいよ技術面接の日である。時間は16:00からで、これなら午前中はテストが受けられそうだということで
スーツを着て学校に行く。案の定笑われるが気にしない。まずはテストである。予想通り、勉強不足であまり解けず。
2教科テストを受けて、12:00に学校を出発。親に大分駅まで車で乗せていってもらい、ソニックに乗車。
今回のソニックは旧型で、「酔ったらまずいな」と思っていたが、なんとか無事博多駅に到着した。
前回は地下鉄とバスを使ったが、今回はバスのみでTNC放送会館まで行く。昼間ということもありあまり混んでなかったおかげで
かなり早い時間で到着した。前回と同じベンチで技術面接対策の勉強をする。
15:45くらいになり、エレベーターに向かう。すると、たまたま前回面接をした人事担当の人に会う。
その人と面接会場に向かう。「相当緊張しているね」と言われた。確かに「どんなことを聞かれるのか」と気が気でなかった(笑)
まずは小さな部屋に案内され、そこでしばらく待つ。LSI設計の雑誌が置いてあったので読むがさっぱり分からない。
緊張しながら待っているとさっきの人事担当の人が来て、面接会場を案内される。
ドアの前まで来て、深呼吸の後ノックして中に入る。すると、人事担当の人を含めて6人が机の前に座っていた。
ここの技術面接は人が多いという情報は以前に知っていたので驚きはしなかったが、やはり実際に目の前にすると圧倒される。
面接会場にはホワイトボードが置いてあり、それにいろいろ書きながら説明する、という流れであった。
そして面接開始。自己紹介をして、何を聞かれるかと思いきや、履歴書に書いたパチンコ液晶のことについてであった(笑)
この話題なら、とRGB信号や同期などの話をしたりブロックダイアグラムを書いたりする。すると、NTSC信号を知っているかなど、
鋭くいろいろ突っ込まれる。今思えば、ここ九州本社では画像処理関係のLSI設計を行っているのであった。もちろん液晶のドライバなども
開発していることであろう。突っ込まれて当然というところか。
その後に卒研の話。自分の卒研のテーマは「TCP/IPを用いたキャンバス共有ソフト」というもので、まだ全然開発段階に入っていない。
それゆえに出来ること出来ないことをいろいろ書いていたのだが、「まあLSI設計の会社だからネットワークに関することはあまり突っ込まれまい」
と考えていた。これが大間違いである。相手はかなり上手で、「それならSocket、connect、bind、send、recvとかも分かるよね」と言われる。
これには「やられた」と思った。後は「まだ始めたばっかりなので」と弁明するのが精一杯であった。
次にプログラム関係の話。これにはプロコンの話を出したところ詳しく説明することに。自分はプロコンでGUI部分を担当したので
アルゴリズムに関してはさっぱりであったが、まあ大体こんなもんだろうと話をする。これもいろいろ突っ込まれた。
それ以降もいろいろ話をして、大体40分くらいで終了。帰ろうとしたら、待合室にもう一人受ける人が居た。
交通費をもらって、TNC放送会館を出る。その時の気持ちは「微妙だな」であった。
一応話すことは話したが、いろいろ突っ込まれたし、満足に話せたとまでは言えない。
確かに言える事は、前回よりは自信がない、ということであった。
ともかく終わったことはしょうがない、とバスで博多駅に戻り、ソニックで大分に帰る。
家について、大急ぎで明日の試験勉強をする。明日の試験は3教科あり、結構大変である。



6/13(木)
世間はワールドカップ真っ最中、しかも今日は大分で試合があるということで、学校はワールドカップ休み。
テストは残り1教科、通信工学を残すのみ。しかも今回の通信工学の範囲はLANということで、一応得意分野である。
まあなんとかなるだろう、ということでろくに勉強もせずごろごろ過ごしていた。
昼過ぎになって、めずらしくPHSに着信が。出てみると担任の先生で、「内定の連絡がありました」とのこと。
電話を切り、一人で喜ぶ。実質たった2ヶ月の就職活動であったが、その過程でいろいろなことを学んだと思う。
その経験と今回合格した嬉しさを忘れずに、残りの学校生活を過ごしていこうと思う。



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